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地銀・第二地銀をメイン金融機関とする富裕層・超富裕層は、地方圏で競合する大手証券の満足度62%を大きく下回る47%である。

もっとも、メガバンクをメイン金融機関とする富裕層・超富裕層の満足度も42%と低いため、地銀・第二地銀に限らず銀行全体のサービスに対する満足度が低いと解釈すべきだろう。 満足度が低い原因は三つ考えられる。
第1に、取引上の関係で仕方なく地銀・第二地銀をメイン金融機関としている点である。 富裕層・超富裕層が、地銀・第二地銀をメイン金融機関とする理由の第1位は、「以前から利用しているので」(59%)である。
この理由が第1にあげられるのは、メガバンクも大手証券も同じである。 注目すべきは、第三位の理由に「ローンや融資の借入先なので」(32%)が入っていることである。
同じ銀行でも、メガバンクをメイン金融機関にする富裕層・超富裕層では、利用している理由の第5位(2O%)に過ぎない。 二番目の原因は、地銀・第二地銀が商品・サービスではなく身近なイメージで評価されている点である。
NRI調査では、地銀・第二地銀のイメージとして、三大都市圏の富裕層・超富裕層よりも地方圏で強く持たれているのは、「顧客を大切にしている」「安心・安定感がある」「親しみゃすい」の三点である。 この三つのイメージは、地銀・第二地銀が顧客にとって「身近な存在」であることを意味するが、一方で、商品やサービスの評価が高くないという見方もできる。
第三番目の原因は、地銀・第二地銀に、PBサービスの蓄積が不十分な点である。 この点に関して、ある信託銀行のプライベートバンカーは、「地銀の富裕層向けサービスの課題は、ノウハウの蓄積にある。
遺言の作成や執行にはノウハウが重要であるが、地銀には十分にノウハウが蓄積されていない」と話している。 相続対策だけでなく、ヘッジファンドや仕組債などの運用商品の販売も地銀・第二地銀が得意にしているとはいいがたい。
地銀・第二地銀をメイン金融機関とする富裕層・超富裕層に、潜在的な不満が蓄積していることは、地方聞に進出する金融機関にとって千載一遇のチャンスであり、地銀・第二地銀にとっては、防衛上の改善の余地が大きいことを示している。 地域金融機関が長い間にわたって高いシェアを占めてきたのは、以前から利用しているという「習慣」や皆が利用しているという「コミュニティの力」があったからである。

本来であれば、これは他社(行)が入り込む隙がないくらい強力な顧客ロックイン構造のはずである。 しかし、地銀・第二地銀のサービスに対する潜在的な不満は強まっており、顧客が離反する可能性が出てきた。
今後、地方圏の富裕層・超富裕層の資産が「動き出す」可能性は高い。 地方圏の富裕層・超富裕層は、いままで取引がなかったメガバンクに高い期待を寄せている。
これを端的に示すのが、メガバンクが「専門的・プロフェッショナルだと思っている割合」である。 三大都市圏の富裕層・超富裕層では、この割合が二ハ%に過ぎないが、地方圏では27%に達する。
地方圏では、メガバンクの存在感が薄いにもかかわらず、あるいは、だからこそ、富裕層・超富裕層からの期待が大きい。 メガバンクが、地方圏の富裕層・超富裕層の期待に応えるためには、既存の顧客に専門性を評価されることからはじめなければならない。
次に、外資系銀行/証券について考えてみよう。 彼らも、メガバンク同様、地方圏ではシェアが低い。
NRI調査では、外資系銀行/証券各社(行)の口座保有率は、三大都市圏と地方圏では、二倍から三倍の格差があった。 ただし、地方圏に拠点がなくても、東京や大阪から直接訪問する外資系銀行/証券のプライベートバンカーを歓迎する地方圏の超富裕層もいる。

地方圏ではシェアが低い外資系銀行/証券であるが、そのイメージはかなりよい。 地方圏において、外資系金融機関は、「高級感やステータスがある」と答える富裕層・超富裕層の割合は、三大都市圏とほぼ同水準である。
今後、外資系銀行/証券に求められることは、次の二点である。 まず、地方圏に強い大手証券や地銀・第二地銀とは一味違うサービスを打ち出すことである。
次に、「日本から簡単には撤退しない」という意思を明確に示す必要がある。 過去に繰り返された撤退の歴史が外資系銀行/証券に対する不信感を強めていることは否定できない。
これができれば、これまで動かなかった地方圏の富裕層・超富裕層という「大きな山」を外資系銀行/証券が動かすことができるようになる。 事業関連アドバイスと不動産対策が決め手になるでは、地方圏の富裕層・超富裕層が金融機関に求める商品・サービスはどのようなものであるか。
NRI調査では、金融資産の運用よりも、事業承継・M&Aなどの事業関連アドバイスのほうが重要であるという結果が浮かび上がってきた。 地方圏の超富裕層でなくても企業のオーナー経営者であれば、金融機関に事業承継やM&Aなどの事業関連アドバイスを求める。
地方圏でこのニーズがとくに強いのは、バブル崩壊以降の地域経済の長い低迷で、子ども世代に事業を承継していくべきか否かを地方圏の企業オーナーが真剣に悩んでいるからではないだろうか。 製造業においては、取引先の大企業が中国などのアジア諸国での現地生産を本格化した。
また、流通業においては、地方都市の中心市街地は郊外のショッピングセンターに押されて軒並み衰退した。 地方圏では、富裕層・超富裕層の子ども世代に対して、事業承継のバラ色の夢を語ることは難しいのである。
企業のオーナー経営者が求める事業承継・M&Aなどの事業関連のアドバイスについて、銀行・証券のプライベートバンカーは次のように述べている。 企業オーナーが一番に考えることは、「自分の会社を発展させるために何をすべきか」ということである。
しかし、それについてアドバイスしている金融機関は少ない(メガバンク・グループのPB)・企業のオーナーの運用に対する関心は、実はほんの何割かに過ぎない。 オーナーの1番の関心事は、会社経営と後継者についてである。
後継者がいない場合は、事業のイグジット(退出)。 これについての話ができるプライベートバンカーを求めている。

後継者がいる場合、その後継者を育てるためにどうしたらいいのか、もしくは、自分の商売を、今いいうちにどこかに売りたいのだけれども、どこかないかという話にもなる(メガバンク・グループのPB)・オーナーが会社の事業で困っていることに相談に乗ったり話をすることを、無償で支援している。 そこで手数料を取るとビジネスライクな関係になってしまう(信託銀行のPB)取引先を紹介することがある。
身近なところから、プライベートバンキング部で担当しているお客様で、何かマッチングできるようなところがあれば、ご紹介する。 身近なところになければ、他の部門やグループ会社の人脈を使う(証券会社のPB)全国に取引先を持つ大手金融機関は、自社(行)の法人部門のネットワークを活用して、全国の企業とのビジネスマッチングや、経営者の目線での外部の専門家のコーディネートができれば、地域金融機関に対する競争優位になる。

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